ルシッド・フォール、11枚目のアルバム『Elsewhere』で希望と夢を歌う
ルシッド・フォール、11枚目のアルバム『Elsewhere』で希望と夢を歌う
シンガーソングライターのルシッド・フォール(Lucid Fall)が暗い現実と「もう一つのところ(Elsewhere)」を目指す夢を歌った。彼の今回の11枚目のアルバム『もう一つのところ』には、世界の人々に希望を伝えたいという思いが込められている。

ルシッド・フォールは7日、ソウル江南区に位置するアンテナ本社でテンアジアと会い、11枚目のアルバム『もう一つのところ』について様々な話を交わした。

ルシッド・フォールは久しぶりにリリースしたアルバム『もう一つのところ』の意味について「歌は韓国語で書かれているが、音楽的に世界の人々と連帯するアルバムを作りたかった。それで海外のアーティストたちとチームを組んで作業した」と明かした。
ルシッド・フォール、11枚目のアルバム『Elsewhere』で希望と夢を歌う
ルシッド・フォール、11枚目のアルバム『Elsewhere』で希望と夢を歌う
彼は「このアルバムは『ディストピアを歌うが視線はユートピアに向かっている人』についての話を含んでいる」とし、「暗い世界に住んでいるが、しかめっ面で歌わない。依然として笑いながら少し遠い未来を見据える人の固い意志、希望、連帯、勇気を描いた」と語った。

アルバム名『もう一つのところ』についてルシッド・フォールは「物理的に別の場所という意味もあるが、主な意味は私たちが住む俗世の外の別の世界をすべて含む言葉」と述べた。

彼は続けて「私の内面という第1宇宙から直接私とつながっている第2の宇宙、私と間接的に関連している第3の宇宙まで、合計3つの宇宙があると考える」と自身の哲学を説明した。ルシッド・フォールは「最近の人々のエネルギーは第2の宇宙に集中している」とし、「私はそうしたくない。その中で第3の宇宙にいる人々と共に明るい夢を見たいという気持ちを歌にした」と付け加えた。
ルシッド・フォール、11枚目のアルバム『Elsewhere』で希望と夢を歌う
ルシッド・フォール、11枚目のアルバム『Elsewhere』で希望と夢を歌う
彼は収録曲『レ・ミゼラブル Part 3』について、昨年のユン・ソクヨル(윤석열)前大統領の弾劾デモに関する曲だと告白した。ルシッド・フォールは「世界がどこに向かっているのかについて多くの悩みがある」とし、「アメリカ、ウクライナから世界中が同じだが、我が国も昨年はダイナミックだった。すべての統治者に抵抗する市民のための曲」と明かした。

さらにルシッド・フォールは「元々『レ・ミゼラブル』という言葉は哀れな市民を指す言葉だったが、最近の私の考えは違う。市民を暴力的に抑圧し統治しようとする者たちが真の『レ・ミゼラブル』、哀れな者たちだと思う」と説明した。彼は「2009年に書いたパート1、3とは見方が違う。私の視野が成長するにつれて曲の意味も変わった」と語った。
ルシッド・フォール、11枚目のアルバム『Elsewhere』で希望と夢を歌う
ルシッド・フォール、11枚目のアルバム『Elsewhere』で希望と夢を歌う
この日、長期間済州島に住んでいるルシッド・フォールは、ソウルに住む考えはないと断言した。彼は「昨日、実はサンスン(상순)の家で寝た。そんな話をした。『ソウルで住む考えはないか』とね」とし、「特にソウルにいる理由がない。少し自由に縛られずに生きるフリーランスミュージシャンの立場では、自分が住みたい場所を選んで住みたかった」と打ち明けた。

ルシッド・フォールはソウルを離れた理由について「ソウルは私に音楽的な刺激を与えない。済州ではそうではない。最大の理由は一人でいられることだ。少なくとも私にとって音楽は『私』という内面の宇宙にエネルギーが凝縮されてこそ可能だ」と述べた。彼は「ソウルに住むと楽しいが、『私』という宇宙にエネルギーを蓄えることができない」と付け加えた。

今年で50代に入ったことについても様々な考えがあると述べた。ルシッド・フォールは「年を取ることには良い点も悪い点もある。私には良い点が多い。多くのことが鈍くなった。以前の私は非常に鋭い人だった。自分が考える基準から外れるすべてのことに批判的だった。少し意地悪だった」と告白した。彼は「今は気になることがあまりない」とし、「そういうこともあるだろうと理解することが多くなった。以前より周囲を少し見ることができるようになった。それで以前に戻りたいかと聞かれれば、そうではないと答える」と語った。

ルシッド・フォールは「ただ悪い点があるとすれば、将来自分がどんな音楽をするのか、音楽をいつかやめることがあるのかと時々考えることだ。以前は一度も考えたことがなかった」と打ち明けた。
ルシッド・フォール、11枚目のアルバム『Elsewhere』で希望と夢を歌う
ルシッド・フォール、11枚目のアルバム『Elsewhere』で希望と夢を歌う
化学者、研究員を経て、ミュージシャンであり農夫として活動中の彼は、自分は『ミュージシャン』だと線を引いた。ルシッド・フォールは「私はミュージシャンだ。元化学者、元研究員だ。作家ではない。ミュージシャンだが、たまたま本を書いただけだ」と述べた。彼は「現役の農夫でもあるが、よくわからない」とし、「農場の仕事はとても大変だ。できない。11月の公演が終わったら降りて収穫しなければならないが、農夫も未来を知ることはできないという考えが昨年からある」と冗談を交えた。

『もう一つのところ』は、陰鬱な暗闇を乗り越えた温かい日差しについての物語を扱ったアルバムで、ルシッド・フォールが3年ぶりに発売する正規アルバムだ。今回のアルバムのために海外各国の実力派有名ミュージシャンたちが集まった。スペインのギタリストからブラジルのプロデューサー、アルゼンチンのジャズトリオなどが集まり、アルバム制作に力を注いだ。

一方、ルシッド・フォールの11枚目のアルバム『もう一つのところ(Elsewhere)』は7日午後6時、各種音楽配信サイトを通じて発売される。

イ・ミンギョン テンアジア記者 2min_ror@tenasia.co.kr