K-MOVIE
イ・サングン監督、6年ぶりの新作『悪魔が引っ越してきた』で再びコメディに挑戦

『悪魔が引っ越してきた』は、毎朝悪魔に変わるソンジ(イム・ユナ役)を監視する奇想天外なアルバイトに巻き込まれた青年無職ギルグ(アン・ボヒョン役)の奮闘を描いたコメディ。最近、ソウルのソギョクドンのカフェでイ監督に会い、映画に関する様々な話を交わした。

その作品の映画化作業が本格化したのは2022年になってからだ。作品のタイトルも『2時のデート』から最終的に『悪魔が引っ越してきた』に変わった。イ監督は「『2時のデート』という『数字2』が入ったタイトルのため、ファイル整理をすると常に一番上に来る。ずっと目に留まった」と語った。続けて「しばらくして開いてみると、時が経つにつれて熟成されたのか、私が考えていた内容とあまりにも違った。当時映画を好きだった学生として大胆さと実験性があった。精製されていない生のものだった」と笑った。また「デビューして数年後に取り出してみて『今の私が浄化して精製して人々に見せられる』と思った。基本的なアイデアは維持しつつ、最初から書き直した。タイトルと登場人物の名前を除いて家族構成から始めてすべてを変えた」と語った。
イ監督は「検索がうまくいかなかった。同名のラジオ番組があるじゃないか」と笑った。それでも「私はタイトルにナラティブがあるのが良いと思う。『2時のデート』の前にも『夜明けに』という括弧が抜けていた。昼の2時を考えていたが、夜明けの2時という反転のナラティブを与えたかった。変わったタイトル『悪魔が引っ越してきた』を選んだのは、まず映画がソンジの家族が引っ越してくることで始まるからだ。また引っ越してくるというのは物体が動くことだけでなく、心が動くことも意味する。映画を見て感情が揺れ動き『ドン』と感じてほしいと思った」と話した。

劇中ソンジは食べ物をむしゃむしゃ食べ、漢江の水に飛び込むなど天真爛漫だ。難しかったかもしれない撮影についてイ監督は「食べ物を食べる途中で口に入れたまま話す演技は難しくないか。しかしユナさんが恥ずかしがらずにうまくやってくれた。画面に出ると『そこまでやらなくてもいいのではないか』と思うシーンもよくやってくれた」と感謝した。続けて「指示はしなかったが、密かにプレッシャーをかけたようだが、イム・ユナ俳優も楽しく撮影してくれた」と笑った。
イム・ユナがキャスティング提案を断ることもあったのではないかという質問にイ監督は「遅くても縁と道を探すのが正しいと思う。適当な時期、タイミングがあるということだ。うまくいくための過程だと思う」と答えた。それでも「やってくれるという80%以上の心的確信はあった」と笑いをこぼした。

イム・ユナは撮影のためにケーキを10個以上食べたという。イ監督は「シフォンが柔らかいので食べると歯に挟まるしかなかった。簡単ではなかったはずだが、ユナさんがよく食べてくれた」と感謝した。

イ監督は劇中ソンジとギルグのロマンスの分量が多くないことについても説明した。彼は「先輩監督たちが言うには、見せずにうまく説明するのが上手いことだという。『二人が幸せに暮らした』を一次元的に見せるよりも『幸せに暮らすだろう』と描くことで見る人々の想像をより刺激できるのではないか」と語った。それでも「私もいつかキスシーンを撮るつもりだ」と意志を固めて笑いを誘った。
イ監督は今回の作品にコメディ、ロマンス、ヒューマニズムなど様々な要素を盛り込んだ。今回の作品を通じて追求したかったことは何だったのか。イ監督は「『エクシット』は二人が生存のために走る話だった。青春がどこに行くかわからず駆け抜ける話だった。今回も旅について話したかった。初作品と似ている点は道を探し旅をする人々の話ということだ。しかし今回は道を失いながら偶然出会った二人の人物が一緒に歩くことになり、自分が行くべき道を悟ることになる」と説明した。
男性主人公が無職という点も『エクシット』の時と共通点だ。イ監督は「もう無職をやめてもいいのではないかと思う。あるいは白鳥をすることもできる」と笑いをこぼした。続けて「次の作品も道を探し旅に出る人の話をすることができる。しかし別の方法でもやってみたい。監督は自分が常に考え、人生で哲学的に悩んだ点を作品に込めることになる」と話した。また「私が全く別の人になったようなレベルでやってみようかと思う。しかし私が突然チェーンソーで人を切る話を書くことはないのではないか」と笑った。
『悪魔が引っ越してきた』は今月13日に公開される。
キム・ジウォン テンアジア記者 bella@tenasia.co.kr