俳優ペ・スビンがTVINGオリジナル『親愛なるX』で圧倒的な演技力を披露した。
6日に初公開された『親愛なるX』(演出:イ・ウンボク、パク・ソヒョン、脚本:チェ・ジャウォン、バン・ジウン、企画:スタジオドラゴン、制作:モンスターユニオン、シウカンパニー、提供:TVING、原作:ネイバーウェブトゥーン『親愛なるX』[作家:バン・ジウン])は、地獄から抜け出し最も高い場所へ上がるために仮面をかぶった女性ペク・アジン(キム・ユジョン)と、彼女に残酷に踏みにじられたXたちの物語を描いた破滅メロサスペンスだ。1話から4話まで公開され、公開直後にTVING内のリアルタイム人気ドラマ1位に上がった。
この中でペ・スビンは、娘ペク・アジン(キム・ユジョン)を金儲けの手段と見なす父親『ペク・ソンギュ』に変身した。ペク・ソンギュは初登場から微塵の父性愛すら感じられない冷たさで鳥肌を誘った。アルコール中毒で娘に暴力を振るっていた妻を死亡に至らせた後、その現場を目撃した娘に「今からはパパが言う通りにするんだ。そうしないとお前も投げるぞ?」と脅迫する場面は視聴者に強烈な衝撃を与えた。
その後もペク・ソンギュは娘を自分の所有物であり金儲けの手段としか見なさない冷酷な父親の素顔を余すところなく見せた。長い間連絡を絶っていた娘の学校を訪ねて狂ったように名前を呼んだり、金を出さない娘の髪を掴んで手すりに追い詰める彼の濁った目つきと薄ら笑いは見る者まで背筋を寒くさせた。
ペ・スビンはこのようなペク・ソンギュの狂気と怒りをディテールな表現力で完璧に表現した。ボサボサの髪にバーガンディスーツ、白いローファーを合わせるなど、これまで見たことのないビジュアルで強烈な印象を残したのはもちろん、目つき、息遣い、表情、歩き方、ジェスチャー、声、話し方までキャラクターに完璧に同化した姿で没入度を高めた。特に娘ペク・アジン役のキム・ユジョンと対峙する時は、感情の温もりが全く感じられない冷血な目つきで場面の温度を一気に凍りつかせ、劇のサスペンスを倍増させた。
何よりも3、4話でペク・アジンが仕組んだ賭博場にかかり死を迎える場面でペ・スビンは最後の瞬間まで狂気に満ちた目つきで自分だけの破滅を完成させ、圧倒的な演技力を証明した。ペク・アジンが新聞紙の束を金の代わりに出す瞬間、ペ・スビンは狂ったように笑いを爆発させ、瞬く間に怒りに駆け上がる表情の変化と爆発的なエネルギーでキャラクターの複雑な感情を完璧に表現した。続いて娘のソシオパス的本性に直面した衝撃の中で死んでいくペク・ソンギュの内面を微細に震える顔の筋肉と次第にぼやける目つきで描き出した。
一方、TVINGオリジナル『親愛なるX』は毎週木曜日に2話ずつ公開される。
キム・セア テンアジア記者 haesmik@tenasia.co.kr