10月19日までクァンリムアートセンターBBCHホールで上演されるミュージカル『マリー・キュリー』は、放射性元素ラジウムを発見し、女性初のノーベル賞を受賞した物理学者であり化学者であるマリー・キュリーの物語を描く。
物理と化学が結びついた「科学」という分野を扱う点で作品が難しいと思われるかもしれないが、それは杞憂だ。この作品は「8歳以上観覧可」に適するほど簡単に理解できた。リアルな化学小道具や物理道具が登場し、観客の注目を集めた。マリー・キュリーの実験過程とそれに伴う失敗は、観客が「成功した実験結果」を心待ちにするようにさせた。
台詞も難しくなかった。マリー・キュリーが発見したラジウムは歯磨き粉やシガレットなど多くの場所で使われた。このような情報は「体に塗って出かけよう」、「ラジウムパラダイス」などの歌詞に込められ、マリー・キュリーがどれほど素晴らしい発見をしたのかを観客に難なく「常識」として受け入れさせた。
ラジウムは多様に使われ、人々の生活に多くの助けを与えたが、「放射性物質」という裏側があった。マリー・キュリーが発見したこの元素により、ラジウムで夜光時計を作っていた多くの工場の従業員が亡くなった。化学物質の特性について科学の授業で聞いたことがある内容を「ミュージカル」ジャンルを通じて学べるという点で新鮮に感じられた。同時に開発で名声を得た科学者の苦悩を示し、人間的な側面も照らした。
『マリー・キュリー』は2021年「第5回韓国ミュージカルアワード」で大賞をはじめ、プロデューサー賞、脚本賞、作曲賞、演出賞の5部門を受賞し、作品性を認められた。公演が終わった後、ある観覧客は「他のミュージカルとは異なりアドリブがなく、ただ人生についての物語だけを描いた」とし、「この点がむしろマリー・キュリーの人生と内面を真摯に見つめることができるようにしたようだ」と語った。また別の観覧客は「歴史的な人物の一生と業績をこんなに簡単で新鮮に学べるなら、他の偉人を扱ったミュージカル作品も探して観たいと思う」と述べた。
ジョン・ダヨン テンアジア記者 light@tenasia.co.kr