映画『ゾンビ娘』は、ゾンビをテーマにしながらもコメディとヒューマンドラマが主軸となっている作品です。実際に娘を溺愛する父親であるチョ・ジョンソク(Jo Jeong-seok)が『ゾンビ娘』のキャラクターを演じることで、よりリアルな感情を引き出しています。
かつてダンスを得意としていたジョンファン(チョ・ジョンソク)は、K-POPダンスが好きな思春期の娘スア(チェ・ユリ、Choi Yu-ri)と共に暮らしています。誕生日を迎えたスアのために誕生日の準備をしていたジョンファンですが、外ではゾンビウイルスが蔓延し始めます。混乱の中でスアもゾンビウイルスに感染してしまいますが、ジョンファンは娘を諦めることなく、ゾンビ娘スアを連れて母親バムスン(イ・ジョンウン、Lee Jeong-eun)が住む海辺の故郷、ウンボンリに向かいます。そこでゾンビ娘を隔離し、訓練を始めます。
『ゾンビ娘』は、世界で最後のゾンビとなった娘を守るために極秘訓練に挑む家族の物語を描いたコメディドラマです。映画『人質』やティービングシリーズ『運の悪い日』で独特なスリラーとサスペンスを披露したピル・ガムソン監督が、今回は『ゾンビ娘』でゾンビコメディに挑戦しました。
ピル監督の新たな挑戦は成功を収めています。ゾンビ物としてはスリラーの経験を活かし、家族コメディとしてはチョ・ジョンソクやイ・ジョンウンなど、コメディに熟練した俳優をキャスティングしました。ゾンビになった娘と彼女を守ろうとする父親を通じて、最終的に伝えたいのは愛という感情です。ゾンビ物を敬遠する観客でも『ゾンビ娘』に共感しながら楽しめる理由がここにあります。笑いと感動が絶妙に混ざり合った『ゾンビ娘』です。
チョ・ジョンソクはその特技を存分に発揮しています。『EXIT』や『パイロット』などを特有のユーモアで魅力的なコメディ作品に仕上げ、ヒットに導いた彼です。特にこれらの作品と『ゾンビ娘』の公開時期も7月末と似ています。『夏のコメディの定石』を再び見ることができるか期待されます。
チョ・ジョンソクは実際に娘を育てており、劇中でゾンビウイルスに感染した娘を守るために奮闘するジョンファンのキャラクターに没入し、共感できたといいます。より自然で生き生きとした演技が生まれた理由です。
『主軸』としてチョ・ジョンソクが感動を担当する際には、イ・ジョンウンとユン・ギョンホが映画のもう一つの『支え』として絶えず笑いを生み出し、コメディを逃しません。ジョンファンの家族の『ダンスの元祖』として、ノリの良い祖母バムスンを演じたイ・ジョンウン。素早く切り込むイ・ジョンウン流のコメディには笑いを堪える術がありません。
今年初め、『重症外傷センター』を通じて憎たらしいが親しみのある肛門外科医ハン・ユリム役で多くの愛を受け、『ハンブリー』というニックネームを得たユン・ギョンホ。『ゾンビ娘』ではジョンファンの友人としてゾンビ娘の訓練を手伝う薬剤師ドンベ役を演じました。ユン・ギョンホは『ゾンビ娘』のコメディのキーマン役を果たします。スア役のチェ・ユリは、人間とゾンビの性質を持つ『訓練されたゾンビ娘』として、違和感のないバランスの取れた演技を見せました。
『ゾンビ娘』はゾンビ物を父性愛を通じてラブリーにひねった点が新鮮です。父の愛をたっぷり受けた『ゾンビ娘』が今度は観客の愛を受ける番です。今月30日公開予定です。